ご挨拶
第1作目の『もしも、彼女が妖怪ハンターだったら・・・(仮)』を作った時は、
(監督した時ではなく、普通の監督と違い、制作の予算組から、ロケ先、キャスティング、スケジュール、仕上げ、合成、特撮、MAまで全てをほぼ我が家でやっているのであえて作ったと言わせてください。)
まさか、3作品作ることができるとは思っていませんでした。
ですが、もしもこの話の先を作ることができるなら、こんなことやあんなことを入れて、ちょっと特撮ファンが見たことのない
展開を作っていこう。
と思って、たくさんの伏線を『もし棒(仮)』の中に散りばめ、登場人物の名前にも意味を持たせました。
櫛名田比売と稲田姫、イザナミと伊坂奈美、それに大和がいつも身につけているお守り。
シリーズ通して、ヤマタノオロチをラスボスにすることも、最初から決めていました。
『もし僕(仮)』のエンディングに本編ではワンカットも出てこない、ヤマタノオロチとスサノオが登場するのはその予告のつもりで出しました。(まだデザインが決まっていなかったので、スサノオは茶色だったりしますが、、、)
『もし僕(おかわり)』の國米美子監督にお願いして、話をうまくラストの『もし僕(おしまい)』
へとつなぐことができました。
一話完結シリーズですが、3作品続けて観れば、一人の女性(妖怪ですが)が愛情を貫く姿を映画にすることができました。
シリーズを最後まで製作できたことは本当に支えてくださったキャスト、スタッフそして観客の方々のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからもまだ、映像に関わって生きていくと思うので、また新しいことがはじめられる様に精進してまいります。

SPESHAL EFFECTS 代表 國米修市
私が担当した初めての特撮作品は『宇宙刑事ギャバン』という作品でした。
今や、特撮ファンも多く、子供番組の特撮作品は見直され、注目を浴びていますが、当時、業界ではジャリ番と呼ばれバカにされていた時代。
ドラマを撮っているチームと比べると、とてもハードでやることも多く(やることが多いのは今も変わりませんが)朝早くから夜遅くまでの作業で寝る時間もほとんどない毎日でした。
それでも、毎回のクランクイン前の打ち合わせで、台本の内容を「どうやって撮る?」とスタッフであれやこれやと考えるのは楽しかったりもしました。
しかし、現在の作品では、難しいカットはCGや合成にする為、どのように撮るかと考えることも無くなってしまったはちょっぴり残念です。
今回の3作品を取るにあたり、当時やってきたことを生かせるのはとても楽しく、懐かしく思いました。バカにされてたけど、今までやってきたことは無駄ではなかったのかな・・・なんて。
そして、3作品の話をつなげていくのは時間がない中でとても大切なことでした。
この作品の中では人が(今回は妖怪ですが)「なぜ、そこに至ったのか?」ということを大切に描いています。
どんな話でも「なぜこんなことをするの?」の「なぜ?」の部分が物語の中では重要なのだと私は思います。
狐巫女がなぜ大和ことを一途に思い続けているのか?、という?を描くことができました。
伏線の散りばめ方、回収の仕方等、次への話へのバトンの受け渡しがとてもうまく行った話ではないでしょうか。
実は名前も大和、雛、伊坂ファミリーの他にシーナ(椎名)は稲田姫の母の名前、手名椎(テナズチ)から、神大寺市華はスサノオの2番目の妻、神大市比売(カムオオイチヒメ)からとりました。
撮影は3作品通して、予算も時間もなくいつも怒涛のごkとく慌ただしく、突然なんの前触れもなく2班に分かれたり、何の説明もなく、テストもなく「はい、本番」と言われる時があったり。
特に、(おかわり)では、後半のほとんどをグリーンバックで背景は全て合成という大胆な方法での撮影だったので(その後(おしまい)も繋がりで同様の撮影方法となってしまいました)、背景がどっちを向いていてもグリーンなので方向がわからなくなったり、相手はCGや人形のため現場にはいないてきと戦い、時々、國米と私しかわからないところを撮っているので、?マークがキャストとスタッフの皆さんに飛び交うということも度々でしたが、それでもキャストとスタッフの皆様は暖かくこの私たちの特殊な撮影方法に根気よくお付き合いくださったことに感謝いたします。
すみません、國米も私も説明するのが下手で・・・。
(仮)ではそんな撮影方法にびっくりして、戸惑っていたスタッフとキャストですが、(おしまい)の時は慣れてきて、こちらが何を言わずとも・・・という感じになっていました。
(仮)の製作途中では、なんとなく雛の子供の頃の設定や、妖怪ハンターだった母の死、ロレッタはその母の人形だったんだろうということを頭の中では描いていましたが、その時は2作品を製作する事、ましてや監督するなんて思ってもなく、そして3作品を通してこのお話を完結することができるとは思ってもみませんでした。
(仮)(おかわり)(おしまい)と回を追うごとにキャラ達は見事に一人歩きしてくれたと思います。
キャラ達に「お疲れ様でした」と声をかけたくなります。
10年後、20年後の『もし僕』のキャラ達のその後がどうなっているのかを見たいと思ってくださるファンの方々がいらしてくださることを願います。
そして、またどこかでこの愛すべきキャラ達と再び会えたらと。
この3作品を作り上げることができたのは、『もし僕』のキャラを愛し、そのキャラを大切に育ててくださったキャスト、スタッフとこの映画のお客様のおかげです。
みなさまお疲れ様でした。
本当にありがとうございました。

